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チームワークby 成功の名言編集部

「組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある」ドラッカーに学ぶ普通のメンバーで非凡な成果を出すチーム設計

優秀な人がいないと成果が出ないチームへ。ドラッカー、松下幸之助、アトゥール・ガワンデの知見から、強みの配置・役割の明確化・仕組み化で普通のメンバーが非凡な成果を出すチーム設計を解説します。

同じ大きさの円が噛み合い一つの大きな光を生む、チーム設計を象徴する暖色の抽象イラスト
成功への道をイメージした視覚表現

「凡人をして非凡なことを行わせる」——ドラッカーが組織に見た本質

経営学者ピーター・ドラッカーは、組織が存在する理由をこう定義しました。「組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある」。静かな一文ですが、チームで働くすべての人に強烈な問いを投げかけています。もしあなたのチームが、突出して優秀な人がいるときだけ成果を出せるのなら、それは「組織として設計されていない」という意味だからです。

私たちはつい「うちにもエースがいれば」と考えます。しかしドラッカーの視点は逆でした。優秀な人がいるから成果が出るのではなく、普通の人が普通に働いても非凡な結果が生まれるように組み立てられているかどうかが、チームの本当の実力である。天才を待つチーム運営は、天才が来ない限り永久に何も起きません。

そして現実のほとんどの職場は、平凡な自分と平凡な同僚でできています。だからこそ、この問いは他人事ではありません。非凡さを人に求めるのをやめて、チームの設計に求めるところから、成果の質は変わり始めます。

才能ではなく「配置」が成果を決める

ドラッカーはもう一つ、有名な原則を残しています。「強みの上に築け」。弱みを平均点まで引き上げる努力は、投じるコストに対して非凡さをほとんど生みません。一方、すでにある強みを正しい場所に置き直すと、同じ人が別人のように機能し始めます。

ギャラップの長年の従業員調査では、「上司は自分の強みに注目してくれている」と感じている社員のエンゲージメントが、そう感じていない社員より著しく高いことが繰り返し示されています。人は評価されている場所で力を出すのではなく、力が出る場所に置かれたときに評価されるようになる、という順序です。

配置を考えるときのコツは、肩書きではなく「動詞」で人を見ることです。この人は調べることが速いのか、まとめることが得意なのか、人の間に立って調整するのが自然なのか。同じ「企画担当」でも、調べるのが速い人に構成づくりを任せ、まとめるのが得意な人に最終原稿を任せるだけで、チームの通過速度は変わります。誰かの能力を上げなくても、順番と担当を入れ替えるだけで成果は動くのです。

役割の曖昧さが、静かにチームを弱くする

1913年、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンは、綱引きで一人あたりの引く力を測定しました。すると人数が増えるほど一人の出力は下がり、二人では約93%、三人では約85%、八人では約49%まで落ちたと報告されています。のちに「リンゲルマン効果」あるいは社会的手抜きと呼ばれる現象です。

重要なのは、これが怠け心の話ではないという点です。人数が増えると、自分の貢献が見えづらくなり、「たぶん誰かがやるだろう」という認知が自動的に生まれます。つまり手抜きは人格の問題ではなく、設計の問題です。

対策はシンプルで、一つの仕事に一つの名前を紐づけることです。「全員でやる」は、多くの場合「誰もやらない」の別名になります。担当・期限・完了の定義——この三つが空白のままの決定は、会議室を出た瞬間に蒸発します。

もう一つ効くのが、貢献の可視化です。リンゲルマン効果は、自分の出力が誰にも見えていないと感じるときに最も強く出ます。逆に言えば、誰がどこまで進めたかが一覧で見える状態をつくると、手抜きは自然に減ります。ここで順序を間違えないことが大切です。進捗を責めるために共有するのではなく、見えるようにするために共有する。この順序を守れているチームでは、可視化は監視ではなく安心として機能します。

仕組みが、普通の人の力を何倍にもする

外科医アトゥール・ガワンデは、著書『アナタはなぜチェックリストを使わないのか』で、WHOが開発した手術安全チェックリストの導入結果を紹介しています。世界8か所の病院で試験導入したところ、手術後の死亡率はおよそ半減し、合併症も大きく減少しました。医師の腕を上げたわけではありません。確認する順番を紙に書き出しただけです。

これこそがドラッカーの言う「組織」の力です。個人の記憶と善意に依存していた部分を、仕組みに移す。そうすると、平均的な技能の人が、平均を超えた成果を安定して出せるようになります。

松下幸之助は「衆知を集める」という言葉を大切にしました。一人の天才の判断より、多くの人の知恵を集める仕組みのほうが強い、という思想です。ここで鍵になるのは「集める仕組み」であって「集めようという気持ち」ではありません。発言の順番を決める、反対意見を必ず一つ出す、議事を一枚にまとめて共有する——こうした地味な型が、衆知を実際に流通させます。

仕組み化には、もう一つ見逃されがちな効用があります。人の入れ替わりに強くなることです。手順が誰かの頭の中にしか存在しないチームは、その人が休んだ日に止まります。手順が外に書き出されているチームは、新しく加わった人が三日目から戦力になります。ドラッカーが「組織」という言葉で指していたのは、まさにこの継続性——特定の個人に依存しない成果の再現性でした。

会議が三十分延びた午後に気づいたこと

少し個人的な話をします。以前、ある案件で会議が予定より三十分も延びたのに、結論らしい結論が出ないまま解散した午後がありました。誰も反対していないし、方向性も一致している。それでも部屋を出るとき、なんとなく空気が軽くならないのを感じていました。

翌日、その件は一ミリも進んでいませんでした。理由は拍子抜けするほど単純で、「やる」ということだけが決まっていて、「誰が」「いつまでに」が決まっていなかったのです。しかも私自身が、心のどこかで「たぶん誰かが動くだろう」と思っていた一人でした。その気まずさは、今でもよく覚えています。

それからは、会議の最後の三分だけを使って、決まったことの横に名前と日付を書き足すようにしました。たった三分の追加です。それでも、翌朝の進み方がまるで違いました。人が変わったのではなく、決定の書き方が変わっただけだったのに、と少し不思議な気持ちになったのを覚えています。

普通のメンバーで非凡な成果を出す四つの実践

第一に、一つの仕事に一つの名前をつけます。担当・期限・完了条件をその場で言語化し、口頭で終わらせず一行のテキストに残します。会議の終わりに「これは誰の、いつまでの仕事ですか」と聞くだけでも構いません。

第二に、強みの棚卸しをします。メンバーごとに「速い作業」「気が乗る作業」「疲れる作業」を三つずつ挙げてもらい、疲れる作業が誰かの得意な作業と交換できないかを探します。交換できた分だけ、チーム全体の総出力が増えます。

第三に、うまくいった手順を外に出します。成功したやり方を頭の中に置いたままにせず、チェックリストやテンプレートに変換します。判断が必要な仕事ほど、判断以外の部分を仕組みに預けたほうが、判断の質が上がります。

第四に、失敗の振り返りを人ではなく仕組みに向けます。「なぜあの人はできなかったのか」ではなく「どうすれば普通の人が同じ状況で失敗しないか」を問います。前者は防御を生み、後者だけが再発防止を生みます。

あなたのチームは「非凡」を生む器になっているか

ドラッカーの言葉は、私たちに一つの安心と一つの責任を同時に渡してきます。安心は、非凡な人間である必要はないということ。責任は、非凡さが生まれる器をつくるのは自分たちだということです。

エースの採用は運に左右されますが、担当を明確にすることや、手順を紙に書き出すことは、今日からできます。そして不思議なことに、そうした器が整ったチームでは、平凡だと思われていたメンバーが次々に力を発揮し始めます。非凡さは、もともと人の中にあって、器がないだけで見えていなかったのかもしれません。

今日の会議の最後の三分を、名前と日付を書く時間に変えてみてください。凡人をして非凡なことを行わせる器づくりは、そのくらい小さなところから始まります。

この記事を書いた人

成功の名言編集部

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